江戸時代のニッチ?「押板(オシイタ)」を観に行く|朝霞市・志木市・新座市・和光市の不動産・一戸建て・リフォームはマックホーム

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1月 22

江戸時代のニッチ?「押板(オシイタ)」を観に行く

To#です。青梅市にある「旧宮崎家住宅」の「押板」を観に行ってきました。

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 この民家は19世紀初頭に建てられたもので、江戸時代中期以前の自営農村民家の典型間取りあるとして、昭和53年に国指定重要文化財に指定された後、現在の場所へ移築されました。広間(イロリのある板の間)と、勝手(日常の雑事を行う場所)、台所(カマドがある土間)の三つの部屋が一体となっている間取りは現在のLDKによく似ています。

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 訪問のお目当ては「押板」と呼ばれる壁。広間と勝手をゆるやかに区切る幅1.2m程の間仕切り壁で、柱幅ほどのわずかなくぼみに地板が床から少し高いところに取り付けられおり、壁は木板になっています。当時このくぼみに巡礼のお札や掛け軸、季節の花などが飾られていたとのこと。この民家では押板上部に簡易な神棚がありました。この様な装飾を目的とした小さなくぼみは、現代のLDKにニッチ

を作って飾り棚とすることと、根っこでは同じ気持ちのあらわれですね。

 昔の日本人も、美しいものや思い出深いもの、四季の自然を感じられるものを身近に飾り、生活を豊かにしたいと考えていたんですね。時が経ち、住宅の形や作り方が変わっても、人の生活への思いは変わらないことに感動しました。

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 中世貴族住宅に出現した「押板」は、武士の台頭と共に出現した武家屋敷において座敷(タタミの間)に移動し床の間に発展しました。そんな訳で「押板」は床の間の原型といわれています。宮崎家の床の間は移築時に作られたもので、本来は押入だったところです。移築し展示公開するにあたってオリジナルではなくなっているのは少し悲しいですが、そんな床の間に庭先の紅梅が折られて活けてありました。深い軒からの光が、小さなピンク色のつぼみへ柔らかく差し込む風情がいい感じです。

 

旧宮崎家住宅は青梅市郷土博物館の隣にあります。JR青梅線「青梅駅」より徒歩約15分。3月末に庭の梅が開花、4月には付近の桜も開花とのこと。気さくな管理人さんの昭和生活談義も興味深いですよ。